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AMAT

Applied Materials Inc

分析レポート
作成日 2026-08-16
分析時株価
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📅 本レポートは 2026-08-16 時点の分析です。株価・数値はその時点のもので、最新の状況とは異なる場合があります。最新の株価・開示は各自でご確認ください。
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この銘柄、まずは"分析"からいっしょに見ていきましょう。

事業と業績までを無料で公開しています。バリュエーションと"結論"パートは、筆者の個人用メモとして非公開にしています。

1. エグゼクティブサマリー

1-1. 銘柄概要

Applied Materials(AMAT)は世界最大の半導体前工程製造装置(WFE: Wafer Fab Equipment)メーカーである。成膜(CVD/PVD/ALD/エピタキシー)、エッチング、イオン注入、CMP、熱処理、そして e-beam 検査までを単一ベンダーで束ねる「材料エンジニアリング」の総合プレーヤーであり、露光を独占する ASML、エッチング/成膜に特化する Lam Research(LRCX)、検査計測に特化する KLA(KLAC)とは装置ポートフォリオの広さで決定的に異なる。

事業は3セグメント。FY2026 Q3(2026-07-26締め)実績で Semiconductor Systems(SSG)$7,040M(全社の77.2%、営業利益率37.7%)Applied Global Services(AGS)$1,781M(同19.5%、営業利益率30.1%)、Display他 $294M(同3.2%、営業損失 $118M)。AGS は既設装置の保守・スペア・アップグレードを収益源とし、装置売上が落ち込む局面でも収益が残るサイクル耐性の源泉である。37,000チャンバー超が同社の AIx プラットフォームに接続され、稼働データを起点にしたサービス契約の粘着性を高めている。

ユーザーのポートフォリオは NVDA / AMD / MU / TSM / AVGO / MRVL / QCOM / TXN / INTC と設計・製造・メモリ側に厚く、装置(WFE)側が完全に空白である。AMAT はその空白を埋める最有力候補であり、かつ「どの AI チップが勝つか」を問わずに AI 設備投資そのものへ課金できるピック&ショベル型のエクスポージャーを提供する。

1-3. 最大リスク

最大のリスクは「シクリカル銘柄をピーク利益×高PERで買う」ことそのものである。 半導体製造装置は歴史的に3〜4年周期で売上が20〜30%振れる産業であり、現在は SEMI 予測で総半導体製造装置市場が 2025年 $116.9B → 2026年 $143.9B(+23.1%)→ 2027年 $156B(+21.8%)と2年連続で20%超成長する、記録的な上昇局面の只中にある。ここで付いている39.7倍(FY2026)という倍率は、平時のダウンサイクルでは20倍台前半まで圧縮されうる。仮に FY2028 に EPS が20%減益し PER が25倍に戻れば株価は $330 前後になる計算で、この「利益減×倍率圧縮」のダブルパンチが最大のダウンサイドである。

これに次ぐリスクが3点。第1に 中国比率26%(SSG+AGS ベース) と対中輸出規制の追加措置リスク。同社は暦年2026年に中国売上が「28nm ファウンドリロジック投資に牽引されて増加する」と見ているが、これは規制の枠外にあるレガシーノードへの依存であり、規制強化と中国国産装置(NAURA / AMEC)の台頭という二方向の圧力を同時に受ける。第2に フリーキャッシュフロー転換率の悪化。2028年までに四半期システム生産能力を倍増させる計画のもとで人員・在庫・設備が先行し、FY2026 の非GAAP FCF は非GAAP 純利益の7割台にとどまる見込みで、株主還元も Q3 で FCF の37%($860M / $2,330M)と、公約する「FCF の80〜100%還元」を大きく下回っている。第3に 粗利率の頭打ち。Q4 は売上が +15% 伸びるにもかかわらず非GAAP 粗利率は 50.4% で横ばいガイド(ランプコスト)で、さらに 2027年はグローバルミニマム課税により実効税率が 11% → 13% へ上昇する。決算発表後に株価が約5%下落したのは、まさにこの「増収しても利益率が伸びない」点への失望である。

2. 事業構造と競争優位性

2-1. セグメント別売上(FY2026 Q3、2026-07-26締め・IR開示)

セグメント売上全社比前年同期比セグメント営業利益率
Semiconductor Systems (SSG)$7,040M77.2%+27%37.7%(+5.0pt)
Applied Global Services (AGS)$1,781M19.5%+22%30.1%(+3.0pt)
Display / その他$294M3.2%−40.1%($118M の損失)
合計$9,115M100.0%+25%33.7%(GAAP 全社)

SSG の内訳では ファウンドリ・ロジックが過去最高(Gate-All-Around と FinFET の能力増強)、DRAM が前年同期比 +52% で過去最高(HBM 向けを含む)。会社は「先端ロジック・DRAM・先端パッケージングの3領域が 2026〜2027年の WFE 成長の約80%を占める」と定義し、そこに製品投入を集中させている(Q3 だけで8つの新製品を投入、HBM 向け高性能成膜の Producer Avila、GAA ナノシート平滑化の Viva、コンダクターエッチの Sym3 Z Magnum など)。

2-2. Moat(競争優位)の構造

① プロセス統合による「1社で複数工程」の優位。 AMAT は成膜・エッチ・注入・CMP・熱処理・計測を一気通貫で持つ唯一のベンダーであり、GAA(2nm 以降)やバックサイド電力供給(BSPDN)のような複数工程を跨いだ材料統合が必要な世代交代で価値が跳ね上がる。単工程ベンダーが「装置を売る」のに対し、AMAT は「統合モジュールを売る」ポジションを取れる。

② AGS=装置の設置ベースから生まれる年金型収益。 年換算 $7.1B 規模、営業利益率30%の保守・スペア・アップグレード事業。装置出荷がゼロになっても既設装置は稼働し続けるため、ダウンサイクルでの利益床を形成する。会社は暦年2026年に AGS +20%超、長期では中位10%台の成長を見込む。37,000超のチャンバーが AIx に接続され、稼働データに基づく歩留まり改善提案がスイッチングコストを引き上げている。

③ 顧客からの8四半期ローリング・フォワードキャスト。 経営陣は「顧客から8四半期のローリング予測を受け取っており、一部は2030年の技術ロードマップまで会話が及んでいる」と説明した。ただしこれは受注残(backlog)の正式開示ではなく、拘束力のあるオーダーとは異なる点に留意が必要である(同社は backlog を四半期ごとに定量開示していない)。

④ 資本還元の実績。 四半期配当 $0.53(2026年3月に $0.46 から +15%、9年連続増配、過去10年の DPS CAGR は18%)、自社株買い枠の残額 $13.2B。過去10会計年度で FCF のほぼ90%を還元してきた実績がある。ただし現局面では能力増強を優先しており、還元比率は一時的に低下している(後述)。

2-3. SWOT

Strengths(強み)

  • WFE 市場で最大シェア。成膜・エッチ・注入・CMPの広い製品ポートフォリオで単工程ベンダーより顧客あたり売上が大きい
  • AGS(売上の19.5%、営業利益率30.1%)がサイクルの緩衝材として機能
  • 過去最高の非GAAP 営業利益率 34.0%、粗利率 50.4%。バリューベース・プライシングが機能している証左
  • 先端パッケージング/HBM で市場リーダー。3D チップレット積層・ハイブリッドボンディングで新製品を継続投入
  • 財務健全性:総資産 $40,286M に対し株主資本 $23,909M(自己資本比率59.3%、2026-04-26時点・EDGAR)

Weaknesses(弱み)

  • 露光を持たない(ASML の独占領域)。最先端の律速工程を押さえていない
  • Display セグメントが慢性的な赤字(Q3 で $118M の営業損失)
  • FCF 転換率が低下中。FY2026 の非GAAP FCF は非GAAP 純利益の7割台の見込み(在庫・生産能力の先行投資)
  • Q3 の株主還元は FCF の37%($860M / $2,330M)にとどまり、「FCF の80〜100%還元」という自社の公約から乖離
  • GAAP 利益に非事業性の変動が大きい(FY2026 Q2 は GAAP EPS $3.51 に対し非GAAP EPS $2.86 と $0.65 の乖離=営業外要因)

Opportunities(機会)

  • SEMI 予測で総半導体製造装置市場は 2025年 $116.9B → 2026年 $143.9B(+23.1%)→ 2027年 $156B(+21.8%)→ 2028年 $229B(+14.1%を含む中期見通し)へ拡大(※本レポートの $ 系列は SEMI の「総装置市場」ベース。前工程限定の WFE はこれより小さい)
  • DRAM 装置市場は 2026年に +39.0% で $38.8B、2027年 +27.4%、2028年 +15.0% で $56.9B(HBM 主導)
  • 先端パッケージング売上は暦年2026年に +70% 超、プロセス診断・制御は +50% 超の会社見通し
  • GAA(2nm)/BSPDN への世代交代でウェハあたり装置需要(intensity)が構造的に上昇
  • 2028年までに四半期システム生産能力を倍増する計画。実現すれば売上の天井が大きく上がる

Threats(脅威)

  • 中国が SSG+AGS 売上の26%。米国の追加輸出規制/中国側の報復・国産化推進の双方向リスク
  • AI 設備投資の消化局面入り(メタの AI コンピュート容量売却、SK hynix の HBM 拡張ペース鈍化観測など、2026年7月の急落の引き金となった材料)
  • 2027年のグローバルミニマム課税で実効税率が 11% → 13% へ
  • 生産能力増強のランプコストが数四半期にわたり粗利率を圧迫(会社明言)
  • 経営陣による大量売却(2026年に $65M 超、うち CEO Gary Dickerson が $42.5M)
  • バリュエーションそのもの。2026年6月30日に Michael Burry が $729.40 でショートを開示(後に買い戻し)したことに象徴される、AI 関連の倍率に対する市場の懐疑

3. 直近業績とファンダメンタル

3-1. EDGAR 確定値(SEC XBRL 一次データ)

通期(10-K)

会計年度(締め日)売上営業利益純利益希薄化EPS
FY2025(2025-10-26)$28,368M$8,289M$6,998M$8.66
FY2024(2024-10-27)$27,176M$7,867M$7,177M$8.61
FY2023(2023-10-29)$26,517M$7,654M$6,856M$8.11
FY2022(2022-10-30)$25,785M$7,788M$6,525M$7.44

FY2022〜FY2025 は売上 $25.8B → $28.4B、EPS $7.44 → $8.66 と年率5%程度の緩慢な成長にとどまっていた。

四半期(10-Q、締め日ベース)

締め日売上営業利益純利益希薄化EPS
2026-04-26FY26 Q2$7,910M$2,523M$2,806M$3.51
2026-01-25FY26 Q1$7,012M$1,831M$2,026M$2.54
2025-07-27FY25 Q3$7,302M$2,233M$1,779M$2.22
2025-04-27FY25 Q2$7,100M$2,169M$2,137M$2.63
2025-01-26FY25 Q1$7,166M$2,175M$1,185M$1.45

残高(10-Q)

締め日総資産株主資本現金及び現金同等物
2026-04-26$40,286M$23,909M$6,301M
2026-01-25$37,644M$21,717M$7,218M
2025-10-26$36,299M$20,415M$7,241M
2025-07-27$34,211M$19,504M$5,384M

株主資本は3四半期で $19,504M → $23,909M へ +22.6% 増加。自己資本比率59.3%、財務レバレッジは低く、サイクル耐性は財務面からも担保されている。

3-2. EDGAR 以降の四半期(FY2026 Q3、締め日 2026-07-26 / 出典:8-K・IR、2026年8月13日発表)

項目FY26 Q3 実績前年同期比
売上$9,115M+25%(前四半期比 +15%)
GAAP 営業利益率33.7%+3.1pt
GAAP 希薄化EPS$3.17+43%
非GAAP 粗利率50.4%+1.5pt
非GAAP 営業利益率34.0%+3.3pt
非GAAP 希薄化EPS$3.50+41%
営業CF$3,037M
非GAAP FCF$2,330M+14%
自社株買い$440M
配当$420M

Q4 FY2026 ガイダンス(締め日 2026-10-25 想定): 売上 $10,250M ± $500M、非GAAP 希薄化EPS $4.02 ± $0.20、非GAAP 粗利率 約50.4%(前四半期比横ばい)。

3-3. TTM と FY2026 着地見込み

TTM(連続する4四半期:FY25 Q4 逆算値 → FY26 Q3)

項目金額
売上$30,837M(= $6,800 + $7,012 + $7,910 + $9,115)
GAAP 純利益$9,269M(= $1,897 + $2,026 + $2,806 + $2,540)
GAAP 希薄化EPS$11.58(= $2.36 + $2.54 + $3.51 + $3.17)

※ FY26 Q3 の GAAP 純利益 $2,540M は IR 開示値。FY25 Q4 は EDGAR 通期からの逆算値。

FY2026 通期見込み(Q1〜Q3 実績 + Q4 ガイダンス中値、当社集計)

項目FY2026EFY2025 実績増減率
売上$34,287M$28,368M+20.9%
非GAAP 希薄化EPS$12.76($2.38 + $2.86 + $3.50 + $4.02)約 $9.41+35.6%

FY2022〜FY2025 が年率5%成長だったところから、FY2026 は売上 +20.9%、非GAAP EPS +35.6% への不連続なジャンプである。営業レバレッジが効いており、Q3 の非GAAP 営業利益率34.0%は同社史上最高。

3-4. 主要指標(2026-08-16 時点、株価 $507.18)

指標算出根拠
発行済株式数793.6M株直近開示
時価総額約 $402.5B$507.18 × 793.6M
実績PER(TTM GAAP)43.8倍$507.18 ÷ $11.58
PER(FY2026E 非GAAP)39.7倍$507.18 ÷ $12.76
PER(FY2027E 非GAAP)30.9倍$507.18 ÷ $16.40
PBR約16.8倍時価総額 ÷ 株主資本 $23,909M
ROE(TTM)約42%TTM純利益 ÷ 平均株主資本
配当利回り0.42%年 $2.12($0.53 × 4)
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バリュエーション・投資判断・目標株価(非公開)

3アプローチのバリュエーション、結論(BUY/HOLD/SELL)、12ヶ月目標株価レンジ、エントリー/エグジット戦略・トリガーは、筆者の個人用メモとして非公開にしています。

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