
この銘柄、まずは"分析"からいっしょに見ていきましょう。
事業と業績までを無料で公開しています。バリュエーションと"結論"パートは、筆者の個人用メモとして非公開にしています。
1. サマリー
Marvell Technology(MRVL)は、AIデータセンター向けのカスタムシリコン(ASIC)と光/電気インターコネクト(800G・1.6T光DSP、51.2T Ethernetスイッチ)で急成長するファブレス半導体企業である。直近のFY2027 Q1(2026-05-02締め)はSEC EDGAR確定で売上 $2,417.8M(前年同期 $1,895.3M から+27.6%)、GAAP営業利益 $339.4M、GAAP希薄化EPS $0.04 だが、無形資産償却とSBCを除いた非GAAP希薄化EPSは $0.80(会社発表)で、非GAAP営業利益率35.0%・非GAAP粗利率58.9%と高収益体質を維持する。データセンター売上は $1,833M(全社の76%)に達し、AI関連のブッキング(受注)が「exceptional(例外的)」と経営陣が表現するほど加速している。FY2028の売上目標は約$16.5Bへ引き上げられ、カスタムシリコンはFY2029に$10B超を目指す構造成長ストーリーが継続する。
一方で株価は52週高値(約$360相当)から約39%下落し、$222前後まで調整した。下落の主因はファンダメンタルズ悪化ではなく、AIインフラ投資の持続性への懸念と、ピーク時に70倍近くまで膨らんだPERの「バリュエーション・リセット」である。Q2 FY2027の会社ガイダンスは売上 約$2.70B(前年比+約35%)・非GAAP EPS $0.93±$0.05 と力強く、四半期ごとに成長が加速する見通しが示されている。
ただし、次回決算(Q2 FY2027、2026-08-27予定)が本レポート作成の約12日後に控えており、AIセンチメント次第で大きく振れるイベントリスクがある点を最重要リスクとして管理する。以下、事業競争優位・直近業績・バリュエーション・具体的な売買プランを詳述する。
2. 事業内容と競争優位(SWOT)
事業構造: Marvellはデータセンター(売上の約76%)を中核に、キャリアインフラ、エンタープライズネットワーク、車載/産業、コンシューマの5セグメントを持つ。データセンター内の成長ドライバーは (1) ハイパースケーラー向けカスタムAI ASIC(自社設計チップの受託開発)、(2) 光インターコネクト(PAM4 DSP、800G/1.6T光モジュール向け)、(3) 51.2T Teralynx Ethernetスイッチ、(4) DCIおよびCXL/メモリ。競合のBroadcom(AVGO)と並びカスタムシリコン2強の一角を占め、光DSPでは市場リーダー。
SWOT
Strengths(強み)
- AIカスタムASICでハイパースケーラー複数社と量産契約(2nm世代への移行を主導)。FY2027は20%超成長、FY2028に倍増見込み。
- 光/電気インターコネクトの技術リーダーシップ(1.6T光DSPの立ち上がり、インターコネクト成長はFY2027で+70%超見込み)。
- 高い非GAAP収益性(粗利率58.9%、営業利益率35.0%)と記録的な営業CF($638.8M/四半期)。
Weaknesses(弱み)
- GAAP利益は無形償却・SBCで圧迫され、GAAP EPSは$0.04と薄い(買収由来ののれん・無形資産負担)。
- 顧客集中リスク:データセンター売上が少数のハイパースケーラーに依存。1社のプログラム遅延が業績を大きく揺らす。
- 高いバリュエーション前提での投資であり、成長鈍化時の下方感応度が大きい。
Opportunities(機会)
- AIインフラ投資の継続拡大(カスタムシリコンTAM拡大、FY2029に自社カスタム$10B超目標)。
- 1.6T/3.2T光世代への移行でASP・数量が同時に拡大。
- FY2028売上目標$16.5Bへの引き上げが示す受注パイプラインの厚み。
Threats(脅威)
- AI設備投資サイクルの反転・在庫調整懸念(今回の株価下落の主因)。
- Broadcomとのカスタムシリコン受注競争、内製化(ハイパースケーラー自社設計)圧力。
3. 直近業績(SEC EDGAR確定値・非GAAP併記)
SEC EDGAR(CIK 0001835632)の一次データを土台とする。会計年度は1月末締め。
四半期推移(売上 / GAAP営業利益 / GAAP希薄化EPS)
| 四半期(締め日) | 売上 | GAAP営業利益 | GAAP希薄化EPS |
|---|---|---|---|
| FY2027 Q1(2026-05-02) | $2,417.8M | $339.4M | $0.04 |
| FY2026 Q3(2025-11-01) | $2,074.5M | $357.8M | $2.20 |
| FY2026 Q2(2025-08-02) | $2,006.1M | $290.1M | $0.22 |
| FY2026 Q1(2025-05-03) | $1,895.3M | $270.6M | $0.20 |
| FY2025 Q3(2024-11-02) | $1,516.1M | $-702.8M | $-0.78 |
※FY2026 Q3のGAAP EPS $2.20は税制上の一時的な評価性引当戻し等の特殊要因を含み、経常的な収益力を表さない。GAAP EPSは無形償却・SBCの影響で四半期ごとに大きくブレるため、非GAAP EPSを重視する。
通期(EDGAR確定)
| 通期(締め) | 売上 | GAAP営業利益 | GAAP希薄化EPS |
|---|---|---|---|
| FY2026(2026-01-31) | $8,194.6M | $1,322.9M | $3.07 |
| FY2025(2025-02-01) | $5,767.3M | $-720.3M | $-1.02 |
| FY2024(2024-02-03) | $5,507.7M | $-567.7M | $-1.08 |
FY2026は売上$8,194.6Mで前年比+42.1%、GAAP営業損益が黒字転換($1,322.9M)。総資産は $26,944.5M(2026-05-02)、株主資本 $18,215.8M、現金 $3,843.6M と財務は健全。
非GAAP(会社発表・FY2027 Q1)
- 非GAAP売上: $2,417.8M(GAAPと一致)
- 非GAAP粗利率: 58.9%
- 非GAAP営業利益率: 35.0%
- 非GAAP希薄化EPS: $0.80(GAAP $0.04 との差は主に無形償却・SBC)
- データセンター売上: $1,833M(全社の76%、前四半期比+11%、前年比+27%)
- 営業CF: $638.8M(四半期ベース過去最高)
会社ガイダンス(FY2027 Q2、2026-08-27発表予定)
- 売上: 約$2.70B ±5%(前年比+約35%)
- 非GAAP粗利率: 58.25%〜59.25%
- 非GAAP EPS: $0.93 ±$0.05
四半期を追うごとに成長が加速する見通し。